ABCG2遺伝子多型に基づく非小細胞肺癌のゲフィチニブ感受性と有害事象発症予測に関する研究 平成20年度は、ABCG2遺伝子多型の中でもABCG2蛋白質発現量に特に大きく影響を与えるExon 4 のC376TとExon 5のC421Aの2つの遺伝子多型を検出するための実験条件の検討を行った。 後向き研究においては茨城県立中央病院と獨協医科大学越谷病院病理部に保存されている非小細胞肺癌患者のパラフィンブロック標本から、前向き研究においては末梢血からゲノムDNAを抽出しPCRでExon 4とExon 5を増幅し、PCR産物を直接シーケンスして遺伝子型を決定するための実験条件を決定した。C376TとC421Aの両方の遺伝子多型が認められた患者では、それらが同一のアレル上にあるのか否かによりABCG2発現量は大きく影響を受ける。そこで後向き研究においてはパラフィンブロック標本からtotal RNAを抽出し逆転写反応を行い、また前向き研究においては末梢血からゲノムDNAを抽出し、各々Exon 4から5を含む領域を一括してPCR増幅しそのPCR産物をサブクローニングした上で個々のクローンの遺伝子多型を決定するための実験条件を決定した。 非小細胞肺癌患者の登録については茨城県立中央病院地域がんセンターと獨協医科大学越谷病院呼吸器内科の協力を得て、茨城県立中央病院84例、獨協医科大学越谷病院68例のリストを作成した。また両施設において倫理委員会によるゲノムDNA解析の承認を得た。ゲフィチニブの投与を受けた成人患者本人あるいは患者家族に対し研究内容の十分な説明を行い文書による同意を得た上で、患者末梢血あるいは病理検体からゲノムDNAを抽出しABCG2遺伝子多型の解析が進行中である。なお個人情報保護は厳密に行われている。
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