研究課題
基盤研究(C)
ABCG2は半分子型ABCトランスポーターで、gefitinibを細胞外に排泄する。ABCG2は種々の幹細胞や消化管粘膜、血管内皮細胞に発現しgefitinibの有害事象発症に関与する可能性が示唆されている。ABCG2にはC376TとC421Aという機能低下・喪失型遺伝子多型が存在する。我々はgefitinibを250 mg/日経口投与された日本人の非小細胞肺癌患者75名を対象にABCG2遺伝子多型を解析し、その副作用発症との関連を調べた。野生型は34例、少なくとも1本のアレルに多型を認める変異型は41例に認められ、各群で臨床的背景に有意差を認めなかった。しかし急性肺障害(野生型4/変異型2)、肝機能障害(5/8)、下痢(10/12)、皮膚症状(26/30)の発症にも有意差を認めなかった。大腸癌株DLD-1に野生型ABCG2とC421A変異ABCG2のcDNAを強制発現させるとmRNA発現レベルは同様だがC421A導入細胞では蛋白質発現が野生型の1/2であり、SN-38に対して野生型より高感受性を示したがgefitinibに対する感受性は同様であった。以上の結果からEGFRシグナル伝達系の支配を強く受けない細胞・組織ではgefitinibの有害事象に対するABCG2遺伝子多型の影響は少ないと考えられた。
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Cancer Chemother Pharmacol. Vol.66
ページ: 691-698
Pathobiology Vol.77
ページ: 231-240