研究概要 |
CD30コアプロモーター領域に存在する2つのCpG island(R1, R2)のメチル化の状態を検討した。CD30を過剰発現しているホジキンリンパ腫(HL)と未分化大細胞性リンパ腫(ALCL)細胞株(6種)では低メチル化(0.8%)、CD30陽性である細胞株(2種)では中等度メチル化(18.7%)、CD30陰性細胞株(計7種)では高メチル化(55.1%)を示した。これらのことからCD30の発現はメチル化によって抑制されていると考えられた。R1, R2のメチル化の状態に有為な差は無かった。 CD30陰性細胞株を含む4種類の細胞株を5-AzaC処理したところPCR法によりCD30の発現レベルは上昇した。さらにCD30プロモーターのメチル化とCD30発現について検討するために、ルシフェラーゼベクターにクローニングしだCD30プロモーター(2つのCpG islandを含むCD30コアプロモーター領域)をメチレースによりメチル化、レポータージーンアッセイによるCD30プロモーター活性の変化を検討したところ、メチル化によりCD30の誘導は抑制された。 我々はこれまでの検討でHL、ALCLではJunBが過剰発現し、CD30プロモーターのAP-1領域を介してCD30を誘導していることを明らかにしている。AP-1領域は2つのCpG islandの上流にある。JunBによるAP-1を介したCD30プロモーター誘導に対する2つのCpGislandメチル化の影響をレポータージーンアッセイにより検討したところ、メチル化したCD30プロモーターはJunBによるCD30の誘導を抑制した。 以上よりCD30を誘導にはCD30プロモーターのメチル化とJunBが関わること、HL、ALCLにおけるCD30過剰発現は低メチル化CD30プロモーターとJunBの強発現によることが示唆された。
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