CD30過剰発現リンパ腫(Hodgkin lymphoma(HL)とanaplastic large cell lymphoma(ALCL))におけるJunBプロモーター活性誘導に重要な上流シグナルの同定をおこなった。JunBプロモーターはこれまでの我々の研究によりextracellular sigunal-regulated kinase(ERK)1/2 mitogen activated protein kinase(MAPK)経路を介して誘導されることが明らかとなっている。一方CD30過剰発現リンパ種の分子基盤にかかわるCD30およびnucleophosmin(NPM)-anaplastic lymphoma kinase(ALK)はERK1/2MAPK経路を誘導することが報告されている。CD30と NPM-ALKを発現するALCL細胞株SUDHL1においてJunBプロモーター活性はERK一MAPKの直上のMEK阻害剤であるUO126により濃度依存的}こ抑制された。さらにHL細胞株(L428、KMH2、HDLM2、L540)とALCL細胞株(Karpas299、SUDHL1)に発現するCD30をsiRNAによりノックダウンするとJunBプロモーター活性の低下とJunBの発現が抑制された。一方NPM-ALKを発現するALCL細胞株(Karpas299、SUDHL1)においてNPM-ALKをsiRNAによりノックダウンすると同様にJunBプロモーター活性の低下とJunBの発現が抑制された。これらのことからCD30過剰発現リンパ腫においてはCD30-ERK1/2MAPK経路のみならず、NPM-ALK発現するものについてはNPM-ALK-ERK1/2MAPK経路を介してJunBの発現が誘導されていることが示唆された。
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