平成21年度は、悪性骨軟部肉腫の培養細胞株を用いた実験を主に行った。例えば、悪性骨軟部腫瘍の1つであるdesmoplastic small round cell tumor(DSRCT)においては、腫瘍特異的なキメラ融合遺伝子であるEWS-WT1(KTS+)を治療標的の候補として選び、また代表研究者が海外留学中に行った軟部肉腫多数例からなるcDNA microarrayデータからDSRCTに高発現しているtyrosine kinase receptorであるFGFR4も治療標的の候補として選んだ。 これらを標的としたtetracyclinによるinducible RNAi systemを用いて、その発現を自由にknockdownさせることが出来る安定細胞株を樹立している。これらの遺伝子のknockdownの前後で、まず細胞増殖活性や浸潤能などの生物学的悪性度の変化を調べたところ、EWS-WT1(KTS+)のknockdownにより細胞増殖能は大きく低下した。また、この際に細胞間接着因子の発現にも影響を与えていることが推測され、現在その確認を行っている。
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