研究課題
本研究は、血小板増殖因子PDGFおよびその受容体が中枢神経ニッチェ(Niche)の環境維持と、神経幹細胞の分化、遊走、生存に重要な役割を果たすことを、独自に開発したCre-loxP systemを用いたPDGFβ受容体(PDGFR-β)のconditional knockout mouseを用いて明らかにすることを目的とするものである。本年度は、下記の成果を得た。1) PDGFR-β knockout神経幹細胞の増殖および分化能の評価PDGFR-β conditional knockout mouseおよびコントロールマウスのそれぞれから新生仔のSVZの神経幹細胞を分離培養し、増殖能力、分化能などを評価した。PDGFR-β conditional knockout神経幹細胞は、コントロール神経幹細胞と比較して、増殖能には差はないが、apoptosisが多く、遊走能が低下し、神経細胞へ分化する割合が減少することが明らかとなった。2) PDGFR-β knockout神経細胞の酸化ストレスに対する脆弱性の評価PDGFR-β conditional knockout mouseおよびコントロールマウスのそれぞれから新生仔の神経細胞を分離培養し、過酸化水素を用いた酸化ストレスを加え、生存能や生存に関するシグナルを検討した。PDGFR-β conditional knockout神経細胞は、酸化ストレスに対し、脆弱性を示し、そのシグナルにはPI3K/AKT, MAPKが重要であることが明らかとなった。次年度は、生体を用いた神経幹細胞の検討を中心とする予定である。本研究は、Nicheの制御機構解明に寄与し、中枢神経再生における新しい増殖因子の応用の可能性を提示するものと考えられる。
すべて 2008
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