研究課題
本研究は、血小板増殖因子PDGFおよびその受容体が、中枢神経ニッチェ(Niche)の環境維持と神経幹細胞の分化、遊走、生存に重要な役割を果たすことを、独自に開発したCre-loxP systemを用いたPDGF ss受容体(PDGFR-ss)のconditional knockout mouseを用いて明らかにすることを目的とする。1) PDGFR-ss conditional knockout mouse神経幹細胞は、コントロールと比較してSecondary Neurosphere形成能が低下し、細胞死が多く発生することが明らかとなった。次年度は細胞増殖、細胞死、分化に関連するシグナルについての検討を予定している。2) PDGFR-ss conditional knockout mouse神経細胞は、コントロールと比較して酸化ストレスに対し、脆弱性を示し、そのシグナルにはPI3K/AKT,MAPKが重要であることが明らかとなった。3) 中大脳動脈閉塞による脳虚血後の病変は、コントロールと比較してPDGFR-ss conditional knockout mouseで優位に大きく、治癒遅延も観察された。次年度は、脳虚血により誘導される中枢神経ニッチェの活性化とPDGFの関係について、検討を進める予定である。本研究は、培養細胞および生体脳虚血モデルを用い、神経組織の修復に対するPDGFの役割を検討することにより、神経組織再生に向けた新しい増殖因子の応用に寄与するものである。
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J Pharmacol Sci. (Mar 20. [Epub ahead of print])
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