研究課題
本研究は、血小板増殖因子PDGFおよびその受容体が、中枢神経ニッチェ(Niche)の環境維持と神経幹細胞の分化、遊走、生存に重要な役割を果たすことを、独自に開発したCre-loxP systemを用いたPDGF β受容体(PDGFR-β)のconditional knockout mouseを用いて明らかにすることを目的とする。PDGFR-β conditional knockout神経幹細胞は、コントロール細胞と比較してSecondary Neurosphere形成能が低下することが明らかとなった。生後1日のSVZから分離したknockout神経幹細胞のSecondary Neurosphere形成能は、生後4週目のSVZから分離した細胞と同程度であった。分化誘導培養では、神経細胞へ分化する割合が減少した。幹細胞の性質としての増殖能と多分化能が低下するという老化形質が窺われると考えられた。RT-PCR arrayを用いた網羅的な遺伝子解析においては、BDNFおよびFGF2の減少、BMP4の増加が見られた。PDGF/PDGFR-βは、神経幹細胞の生存に重要とされるFGF2、神経細胞への分化と成熟に重要とされるBDNF、アストロサイトへの分化に関連するBMP4とのsynergisticな作用、あるいはこれらの因子の発現の制御に関わることにより、神経幹細胞の生存と分化に関与する可能性が考えられる。今後はこれらの因子に直結するシグナルへ研究を進めることにより、神経幹細胞制御機構におけるPDGF/PDGFR-βシグナルの役割について検討していきたいと考えている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件)
Nephrology Dialysis Transplantation
巻: 26 ページ: 458-468
Journal of Neuroscience Research
巻: 88 ページ: 1273-1284
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 112 ページ: 477-481
The Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 32801-32809
Hippocampus
巻: (published online) ページ: Mar 15