研究課題/領域番号 |
20590385
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 准教授 (70216878)
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研究分担者 |
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 教授 (70197234)
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キーワード | protein kinase C / diacylglycerol / oxidative stress / lipid peroxidation / glutathione peroxidase / signal transduction / splicing variant / neuron |
研究概要 |
本研究課題では、情報伝達・細胞応答を司る機能性脂質の過酸化による情報伝達異常と病変発生に至る機序を解明することを最終的な研究目的とする。前年度は、in vivoの酸化ストレス傷害モデルである四塩化炭素を投与したラット肝臓において過酸化DAGが有意に増加することを明らかにしたが、本年度(2009年度)は、さらにin vivo酸化ストレスモデルにおける過酸化DAGの証明を試みるべく神経組織の酸化ストレスモデルであるラット脳虚血再潅流モデルにおける過酸化DAGおよびPKCシグナル伝達系の動態を検討した。虚血した後、再潅流し6、24時間を経たラット脳組織では酸化ストレスの指標である4-hydroxy-2-nonenalおよび酸化型コエンザイムQ9が著明に増加しており、また、脂溶性の抗酸化物質であるビタミンEの減少が認められ、本モデルのおける酸化ストレス負荷が確認された。本モデルにおいて虚血再潅流6時間後の脳組織において過酸化DAGが有意に増加していることが初めて明らかとなった。また、PKCα、PKCγ、PKCδ、PKCεの各分子種のダウンレギュレーションが認められ、PKC分子の活性化亢進が判明した。PKCの下流シグナルと考えられるp38、Erk、JNKのリン酸化を検討した結果、虚血再潅流後6、24時間においてErkのリン酸化が亢進していた。また、免疫組織化学的検討からリン酸化NF-κBを発現する細胞が傷害部位においておいて増加していた。これらの結果から、酸化ストレスが負荷された神経組織において過酸化DAGの産生が誘導されること、また、その標的分子であるPKCの活性化とともにMAPKの中でもErk分子の活性化が亢進されていることが判明した。
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