RM干渉(RNA interference ; RNAi)を用いてがん細胞内のD40蛋白質の発現を抑制することにより、ヒト培養がん細胞に細胞死が起こり、細胞増殖が抑制されることを明らかにすることを目的として研究をすすめた。特に、がん抑制遺伝子p53がwild typeであるヒト培養子官頸がん細胞株であるHeLa、及びp53が全く発現していない細胞株(p53nu 11細胞)であるヒト前立腺がん細胞株PC-3Mに対し、検討した。方法として、D40遺伝子に対するRNA (D40 siRNA)として、昨年度同様に化学合成した21塩基対二重鎖のRNAを試薬としてLipotrustを用いたリボフェクション法により細胞に導入した。特にLipotrustでは、血清存在下で、細胞のplatingとtransfectionを同時に行なうことができることを昨年度から今年度にかけて確立し、これにより実験効率を高めることができた。 D40 siRNAによる細胞死がp53に依存しないか否かを検討するため、後者の細胞を用いた実験は重要である。その結果、D405iRNAを導入されたPC-3M細胞では、コントロールに比べ、細胞増殖が抑制されるという大凡の実験結果を得ることができた。 また、動物レベルの実験においてもD40 siRNAががん細胞の増殖を抑制できるか検討を開始した。ヌードマウスにPC-3Mを移植(静注)し、D40 siRMを同じく全身投与することで、PC-3M細胞の増殖(転移}を抑制できるか、検討中である。
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