研究概要 |
動脈硬化モテルマウスApoE knockout mouseと対照C57BL6 mouseの繁殖、維持を行い、予備実験として、C57BL6マウスを用いて改良型水迷路学習試験を施行、行動学的うつ状態を作製、血中コルチゾール値の上昇を確認した。うつ状態のマウス脾細胞を分離、脾細胞懸濁液(2.5x10E6 cells/ml)を調整、 ConA刺激下に24時間培養、 CD3, CD4, CD8, CD45, NK1.1, Gr1, CD11b, CD11c抗体を用いたflowcytometryによるTh1/Th2分画計測、 ELISA法で培養上清中のINFg, IL-12, IL-4濃度の測定を行った。現在まで対照C57BL6マウスのうつ誘導のみでは有意な獲得免疫反応の変化は認めていない。本実験は、うつ誘導の有無、 BL6かApoE knockout mouseか、1%コレステロール食負荷の有無により合計8群(各群12匹)の実験系を設定、上記のような免疫学的検討と大動脈組織の形態学的検索を実施中である。 in vitroでの検討では、 C57BL6マウスの大動脈よりコラゲナーゼ法により平滑筋アクチンを発現する細胞を分離、炎症型形質誘発物質LPAおよび代表的抑制型サイトカインIL-4の細胞形質、細胞内酸化ストレス、炎症マーカーICAM-1, MCP-1発現への影響を検討した。研究成果としては、従来より継続してきた増殖因子シグナリング、炎症性サイトカイン(IL-18)の各種細胞形質への影響や病態への関与を指摘した英文論文2報と、上記のin vitroの実験結果の一部を学会発表した。本研究は、うつ、ストレス環境下の個体の免疫応答の変化が、動脈硬化性リスクとして作用しうるかどうかを実験病理学的に検証するものであり、生活習慣に関連した心血管病の病態解明、予防、治療法の確立に寄与したいと考える。
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