研究課題
行動心理学的うつモデルの作製については、20週齢メスApoE KO mouse 24匹をうつ状態誘導(1週間)および高脂肪食HFD32(4週間)投与の有無により4群とし25週齢の時点で血清採取、組織検索を施行した。体重は高脂肪食負荷のみならずうつ状態誘導群で増加する傾向にあった。血清コルチゾール値の増加は普通食のうつ状態誘導群で非うつ状態誘導群よりも高値を示したが、高脂肪食群では差異は認めなかった。脾細胞のCD4/CD8比の変化はなく、引き続きConA刺激後、培養液中のサイトカインをELISA法で検討したところ、高脂肪食投与の有無にかかわらずINF gammaの増加を認め、IL-13値には変化を認めず、うつ状態誘導群ではリンパ球の反応性がTh1側にシフトしている可能性が示唆された。しかしながら、大動脈を採取しOil-red O染色陽性範囲の評価、また大動脈入口部の凍結連続切片を作製し組織所見をコンピューター画像解析したが4群間で有意差は得られなかった。今回の実験においては、比較的高齢の遺伝性易動脈硬化性マウスに肥満、糖尿病状態を誘導しうるHFD32を投与、行動心理学的うつ誘導を加えた点では現代人における動脈硬化リスクの集積した状態をモデル化しており、うつ状態誘導によりコルチゾールや一部のサイトカイン応答の変化が生じている可能性が示唆されたが、現在までの検索では実際の動脈硬化病変の変化を見出すには至らず、イベントの発症や死亡率の上昇等には更に多因子の関与が予想される。本年度は研究計画の最終年度であり、これまでに施行した動物実験を中心にデータを整理し総括報告としたい。
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