研究課題/領域番号 |
20590419
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研究機関 | (財)岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所 |
研究代表者 |
赤尾 幸博 財団法人岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所, 腫瘍医学研究部, 部長 (00222505)
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研究分担者 |
飯尾 明夫 財団法人岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所, 腫瘍医学研究部, 研究員 (80344349)
伊藤 智広 財団法人岐阜県研究開発財団岐阜県国際バイオ研究所, 健康有用物質研究部, 研究員 (30435854)
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キーワード | マイクロRNA / 消化管腫瘍 / がん抑制マイクロRNA / ERK5 |
研究概要 |
大腸癌において約70%の患者においてmiRNA-143-145の発現が著明に低下していることが明らかになった。さらに大腸腺腫でも両マイクロRNAの発現低下が高頻度に観察された。興味あることに腺腫のうち径が1cm以下の腫瘍においても同様の頻度で発現低下がみられた。つまり、miRNA-143-145の発現低下が腫瘍形成の初期の遺伝的事象であることが考えられた。また、胃癌症例を検討した結果、大腸腫瘍と同様にmiRNA-143-145の発現が著明に低下していることが明らかになった。このことからmiRNA-143-145の発現低下は消化管腫瘍に共通の異常であることが示された。miRNA-143-145の大腸癌細胞DLD-1細胞への導入実験からこれらのマイクロRNAが癌抑制マイクロRNAとして機能していることが判明した。その機序に関してはmiRNA-143が増殖関連のERK5を標的にしていることが確認された。発現低下の病因として細胞死を誘導するとこれらのマイクロRNAの発現が上昇することから両マイクロRNAの転写異常が最も考えられた。miRNA-143を用いて坦癌ヌードマウスに腫瘍内投与および全身投与を行なった結果、いずれも腫瘍縮小効果を認めた。薬剤搬送システムとしてはリボゾーム(HSS;LipoTrust)を用いた。腫瘍部位においてもmiRNA-143のレベルの上昇が観察された。全身投与での効果はマイクロRNAでは世界ではじめての報告である。
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