研究課題/領域番号 |
20590422
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80142305)
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研究分担者 |
有末 伸子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00242339)
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20379093)
八木 正典 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (60452463)
田井 久美子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務職員 (00187907)
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キーワード | 三日熱マラリア原虫 / 多重感染 / 遺伝子多型 / マイクロサテライト / 遺伝子組み換え / 流行度 |
研究概要 |
本研究の目的は、多重感染の状態を保ったままで感染状態を持続させるという感染現象をしてきわめて興味深い三日熱マラリア原虫の感染パラドックスを明らかにすることにある。 昨年度の研究から、種分岐後の遺伝子重複により、種特異的な進化を遂げてきたGroup IVに分類されるSERAの系統(P.vivax SERA1-9,システインプロテアーゼの活性中心がセリンに置換されているという特徴を持つ)において、SERAの多様度がP.falciparumに比べて、P.vivaxでは200倍も大きく、これらの分子が宿主から大きな免疫圧を受けてきた可能性が示唆された。 スライディングウィンドウの手法により、遺伝子の狭い領域毎の塩基多様度の値を算出し、その変化を調べたところ、SERAタンパクのプロテアーゼドメインと推測される中央領域の両側に相当する、N末とC末に近い領域に多様度が特に高い領域(dN>dS)がみつかり、ここに変異が蓄積されていることが判明した。P.falciprumとP.vivaxの両方の感染が高度に観察されるアフリカ、マダガスカルで採取された試料からSERAの多型解析を行ったところ、多重感染度はP.falciparumのほうがP.vivaxよりも高いにも関わらず塩基多様度はP.vivaxのほうが大きいことが観察された。多重感染を保ったままの状態でヒトから蚊、蚊からヒトへの感染を持続させるメカニズムの背景には、元々の原虫集団がもつ多様性がP.vivaxのほうがP.falciprumよりも高くそれは宿主からの高い免疫圧を受け、ポジティブセレクションが起こった結果であると考えられた。
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