研究課題
●平成20年度実施研究1)ニホンザルを用いた脳MRI・造影灌流強調画像撮像条件の検討:カニクイザルによる脳MRIの撮像条件をもとに、ニホンザルを用いたに脳MRI・造影灌流強調画像の撮像条件について検討し、本研究で用いる適正撮像条件を設定した。2)サルマラリア感染個体による脳MRI解析および造影灌流強調画像解析:ニホンザル1頭にサルマラリァ原虫(Plasmodium coatneyi)を静脈内接種し、感染経過にともなう脳MRI解析および造影灌流強調画解析を行なった。その結果、重度発症期であっても微小出血や梗塞巣、浮腫等の器質変化を疑うMRI見は認められなかった。また造影灌流強調画像解析では脳血液量(rCBV)、平均通過時間(MTT)および血量(rCBF)を測定し、感染前と重度発症時の比較を試みた。その結果、脳のいずれの部位においても感前と発症期との間に明確な違いは認められなかった。3)病理組織学的観察:各感染個体の最終MRI撮像の直後に剖検し、脳の病理組織学的観察をおこなったところ、大脳および小脳血管内に多数の感染赤血球接着像(sequestration)が認められた。●結論と次年度以降の計画:脳血管内におけるsequestrationの形成は脳マラリアの特徴的病理現象であり、この現象は本研究の感染個体でも高頻度に認められた。その一方で、今年度の研究では発症時の脳MRI所見および血流環境に著しい変化は認めらず、sequestrationの形成が短時間で脳の器質障害に結びつかないことが示唆された。次年度以降は同実験を追加して実施し別個体でのデータ取得を試みる。
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ACTA TROPICA (In press)
日本医事新報 4414
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