研究概要 |
14-3-3タンパク機能における新展開-これまでの研究で私はトリパノソーマ14-3-3タンパクがヒト植物、酵母で一般化されている14-3-3結合モチーフに結合しないことを示してきた。昨年ペプチドタグ付き14-3-3 IおよびIIをテトラサイクリン依存性に過剰発現する昆虫型ブルーストリパノソーマ細胞株の樹立に成功した。この細胞株を用い非常に弱い界面活性剤の使用により、結合タンパクのプロテオミックスを行った結果、新規キナーゼおよび、6-フォスフォー2フルクトキナーゼおよびアセチルCoAカルボキシラーゼを得ることができた。6-フォスフォー2フルクトキナーゼは解糖系の重要な酵素であり、2,6-フルクトース2リン酸の分解、合成を司る重要な酵素である。よって、解答系と密にリンクする脂質代謝に非常に大きな役割を示す可能性が高い。さらにアセチルCoAカルボキシラーゼは、アセチルCoAからマロニルCoAを合成する酵素で、パルミチン酸およびトリアシルグリセロールの合成に多大な影響を与える。また、この酵素はcAMP依存性リン酸化キナーゼによりリン酸化され阻害される。今後これらの酵素と1)トリパノソーマ14-3-3タンパクの結合様式および、2)この結合による酵素活性の変化を解明することを2つの柱として研究を進める。具体的には、テトラサイクリン依存性14-3-3ノックダウン細胞および過剰発現細胞に相同組み換え法を用いペプチドタッグが付加されたアセチルCoAカルボキシラーゼは、アセチルCoA細胞株を樹立し、14-3-3タンパクの過剰発現下およびノックダウン下にて酵素のアフィニティー精製を試み、結合部位および、酵素活性を測定する予定である。
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