研究課題
リステリアは、宿主細胞の細胞質内に侵入する細胞内寄生性細菌である。本菌が感染したマクロファージの産生するIL-12やIL-18などのTh1サイトカインは、宿主に成立する感染防御免疫の分化誘導に重要な役割を果たしているが、これらのサイトカインがどのような機序で産生誘導されているのかその機序は明らかではない。一方、IL-1α/βは感染初期に産生される炎症性サイトカインであるが、細胞内寄生能(細胞質内侵入性)を失った弱毒株の感染では誘導されないことから、本菌の細胞内寄生性(細胞質内侵入性)がサイトカイン産生に影響を与えていることが示唆された。そこで、リステリア感染によって宿主食細胞(マクロファージ)に誘導されるIL-1α/β応答の機序を解析したところ、感染後、食胞から細胞質へ侵入したリステリアは、細胞質内の異物認識受容体の一つで細菌由来DNAを認識するAIM2によって認識され、ASCを含むインフラマソームが形成された結果、caspase-1が活性化されIL-1βの成熟化が引き起こされる機序が明らかになった。また、菌の細胞内侵入に伴い活性化されたカルシウムシグナルやPI3K下流のシグナルが細胞膜を介した物質の食作用(エンドサイトーシス)/排出作用(エクソサイトーシス)系に影響を与え、成熟化したIL-1α及びIL-1βがオートファジー経路あるいは分泌リソソーム経路を介して細胞外に分泌されていることが示唆された。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Immunology
巻: 185(2) ページ: 1886-1995
Infection and Immunity
巻: 78(6) ページ: 2857-2867