研究課題
我々は、Helicobacter pylori〈ピロリ菌〉感染におけるマクロファージの機能に注目し、感染における特異的免疫反応と疾患の関係を研究することにより、ピロリ菌による様々な疾患の病原機構を明らかにすることを目的としてきた。これまでの我々の研究で、菌の熱ショックタンパク(HSP60)が、マクロファージの活性化能が高いことを報告してきた。1) 動脈硬化モデルマウスにH. pyloriを感染することにより、動脈硬化が進むこと、また、そのときHSP60に対するThl反応が進んでいることを見出した。血管内皮細胞にIFN-・と熱ストレスによる処理を行うと、MHC分子とHSP60を共発現する血管内皮細胞が増加していた。熱ストレスによりオートファジーのマーカーであるLC3の発現が増加していたことから、HSP60抗原はMHC拘束性、特にMHC classIIに抗原提示されている可能性があると考えられた。2) 冠動脈疾患患者(CVD)のH. pyloriの抗体価による感染率はCVD群で56%、non-CVD群で52%とほとんど差が、なかった。HSP60に対する抗体価は、H. pylori抗体陰性者の平均値+SDの値をカットオフ値に設定し陽性率を算出した。Hp-HSP60の陽性率は、CVD群で84%、non-CVD群で62%、オッズ比は1.47(p=0.11)であり有意差は認められなかった。Hu-HSP60に対する抗体価の陽性率は、CVD群で39%、non-CVD群で22%であり、オッズ比は2.07(p=0.012)で有意差が認められた。また、H. pylori感染によりHu-HSP60に対する抗体価が上昇するヒトは、T cell epitopeを含むII3a (Glu141-His155), II 3b (Gln145-Asn152)のペプチドに対する抗体価が上昇していた。患者(CVD)で、HSP60のペプチドに対する、抗体価が高く、診断に使えることを報告した。3) マクロファージにおける抗原の取り込みに関係したマンノースレセプターファミリーのDEC205の役割を検討した。そこで、培養細胞NOMO-1をPMA刺激によりマクロファージに分化させ、DEC205の発現の増強を確認した。またこのDEC205とCD16を介して、菌の貪食が行われることを見いだした。
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