結核菌細胞壁に存在する主な脂質として、lipoarabinomannan(LAM)、phosphatidylinositol dimannosides(PIM)やtrehalose dimycolate(TDM)が知られているが、なかでもTDMは肺結核において観察される肉芽腫形成を強く誘導する糖脂質として注目されている。Mycobacterium tuberculosisH37Rv株より抽出したTDMを、w/o/wエマルジョンとしてC57BL/10ScSnマウスの尾静脈に投与すると、投与早期に肺単核球中のαβ型T細胞およびγδ型T細胞において細胞活性化マーカーであるCD69分子を発現している細胞が増加していた。特に、γδ型T細胞によって炎症性サイトカインであるIL-17が産生されていたが、αβ型T細胞はIL-17を産生していなかった。肺単核球においてIL-23p19、IL-17などの前炎症性サイトカインおよびケモカインのmRNA発現が認められた。また、肺単核球中旨のγδ型T細胞のレパートアを解析したところ、投与1日後において、Vγ6^+Vδ1^+細胞が増加していた。マウスにおけるTDMを投与する前に、抗γδTCR抗体を用いてγδ型T細胞を除去することにより肉芽腫形成が減弱したことから、このγδ型T細胞はTDMによる肉芽腫形成誘導に関与していることが示唆された。現在、γδ型T細胞によるTDMの認識機構について解析を行っている。
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