研究課題
in vitroでの硝酸塩(nitrate)および亜硝酸塩(nitrite)のH.pylori増殖に及ぼす効果を調べた。nitrate, nitriteいずれも0.13mM〜900mMの範囲にて増殖培地(7%ウシ胎児血清加ブルセラ培地)に添加して、37℃にて微好気培養を行った。11mM以上の濃度のnitrate添加はH.pyloriの増殖を対照(nitrate無添加)の1/2以下(OD_<600>にて評価)に抑制した。これに対して、0.13mM以上の濃度のnitriteはH.pyloriの増殖を対照の1/2以下に抑制した。これらの結果よりnitrateに比べnitriteが強い抗H.pylori作用をもつことが明らかにされた。H.pylori TK1402株をスナネズミに経口感染させ、3ヵ月後に安楽死させた。定着H.pylori菌数は10^4CFU/g mucus以上を示した。H.pylori感染は血漿中、胃液中、胃粘膜中のnitrateおよびnitrite量に変化を与えなかった。しかし、H.pylori感染により、胃粘膜内誘導型No合成酵素(iNOS)の発現が亢進されていることがリアルタイムRT-PCR法により明らかにされた。H.pylori感染による病理学的解析の結果、H.pylori感染は好中球および単球の浸潤を引き起こすことが認められた。また、胃腺拡張は強く認められたが、腸上皮化生は検出されなかった。胃粘膜中の優勢菌であるlactobacilliの菌数をH.pylori非感染スナネズミおよび同感染スナネズミ間で比較した。定着lactobacilli数はH.pylori感染スナネズミにおいて低下する傾向がみられたが、統計学的に有意な差ではなかった
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