研究課題/領域番号 |
20590456
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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研究分担者 |
桑原 京子 (新井 京子) 順天堂大学, 医学部, 助教 (10167976)
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
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キーワード | 敗血症 / alarmin / アポトーシス / 抗菌ペプチド / HMGB-1 / 血管内皮細胞 / マクロファージ / エンドトキシン |
研究概要 |
敗血症の病態では、宿主細胞の細胞死(アポトーシス)が変調を来たしており、リンパ球、上皮細胞、血管内皮細胞のアポトーシスが亢進して、感染防御・免疫機構が低下し、さらに、好中球のアポトーシスが抑制されて、組織・臓器障害を起こしやすい状況に陥っている。一方、抗菌ペプチド(host defense peptides)であるデフェンシンとcathelicidin(ヒトLL-37)、クロマチン結合タンパク質であるHMGB1(high mobility group box protein 1)などの分子がalarminとして認知され、敗血症などにおいて宿主が病原体に遭遇すると、生体に危険信号を伝えるために細胞外に放出され、免疫担当細胞に作用して生体防御システムを賦活化する。本研究では、alarminによる宿主細胞のアポトーシス制御に焦点を当てて敗血症の病態を解明することを目的とした。 今年度は血管内皮細胞のアポトーシスに及ぼすLL-37の影響について検討した。その結果、グラム陰性菌リポ多糖(lipopolysaccharide, LPS)などの菌体成分を血管内皮細胞に作用させると細胞死が誘導されたが、これにLL-37を作用させると、LL-37の濃度に従って、血管内皮細胞の細胞死が抑制されることがわかった。 従って、敗血症の病態では、菌体成分によって血管内皮細胞に細胞死が誘導され血管内皮機能が傷害される状況にあるが、危険信号分子alarminの一つであるLL-37は血管内皮細胞に保護的に作用し、血管内皮機能を維持する方向に働く可能性が考えられた。 さらに、alarmin分子の宿主細胞への効果をin vivoで検討し、alarmin分子の生体内での働きを明らかにしていきたい。
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