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2011 年度 実績報告書

サルモネラ菌の細胞内増殖および全身感染成立に関わる病原因子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 20590460
研究機関名城大学

研究代表者

打矢 恵一  名城大学, 薬学部, 准教授 (70168714)

キーワードサルモネラ菌 / SPI-2 / spiC遺伝子 / 細胞内カルシウムイオン / 細胞内増殖
研究概要

Salmonella enterica serovar Typhimuriumの染色体上に存在するSalmonella Pathogenicity Island 2は,マクロファージ(Mφ)の殺菌能に対する抵抗性やマウスに対する全身感染の成立に関与しており,それに関わる病原因子としてこの領域内に新規遺伝子であるSpiCを同定した.これまで,SpiCがシクロオキシゲナーゼ2 (cox-2), IL-10,そしてサイトカイン抑制因子3などの発現増強に関与していること,さらに鞭毛や線毛の形成に関与していることを報告してきた.これまでの研究結果から,SpiCは鞭毛や線毛形成に関与し,TLR5やTLR2を介してサルモネラ感染Mφ内のシグナル伝達経路を活性化し上記ファクターの産生を促すと考えられる.平成23年度の研究計画において,サルモネラのMφ内増殖における細胞内カルシウムイオンの重要性について検討を行った結果,以下の新たな知見を得た.1.サルモネラを感染させたMφおよびHeLa細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を測定した結果,野生株を感染させた細胞では,SpiC欠損変異株を感染させた場合に比べて有意に増加した.2.Mφ内でのサルモネラの増殖性およびCOX-2発現への細胞内カルシウムの関与を調べるために,カルシウムチャンネルの阻害剤であるベラパミル処理により野生株のMφ内増殖の低下に加えて,サルモネラ感染MφのCOX-2発現が阻害された.3.サルモネラのMφ内増殖への関与が報告されているSif(Salmonella-induced filament)の形成能を調べた結果,その低下が見られたことからサルモネラの病原性における細胞内カルシウムイオンの重要性が示された.4.カルシウムシグナル伝達経路の関与について調べるために,カルモジュリンやMLCK(myosin light chain kinase)の阻害剤(W-5,ML-7)を用いて検討を行った結果,これらの阻害剤処理によりサルモネラのMφ内増殖およびSif形成の低下が見られた.以上の結果から,SpiCは細胞内カルシウムイオンの増加を促し,カルモジュリンを介してMLCKを活性化して,Sifの形成を引き起こすことにより,サルモネラの細胞内増殖に関与していることが示唆された.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Evaluation of a rapid detection method of clarithromycin resistance genes in Mycobacterium avium complex isolates2011

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Inagaki
    • 雑誌名

      J.Antimicrob.Chemother.

      巻: 66 ページ: 722-729

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High-yields heterologous production of the novel Aspergillus fumigatus elastase inhibitor AFUEI in Aspergillus oryzae2011

    • 著者名/発表者名
      Nobuo Yamashita
    • 雑誌名

      J.Biosci.Bioeng.

      巻: 112 ページ: 114-117

    • 査読あり
  • [学会発表] Aspergillus flavusの産生するエラスターゼインヒビターAFLEIの性質とX線構造解析2012

    • 著者名/発表者名
      奥村欣由
    • 学会等名
      第86回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2012-03-27
  • [学会発表] サルモネラのマクロファージ内増殖における細胞内カルシウムの関与2012

    • 著者名/発表者名
      打矢恵一
    • 学会等名
      第86回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      2012-03-27
  • [学会発表] サルモネラの病原性における細胞内カルシウムの関与2011

    • 著者名/発表者名
      打矢惠一、二改俊章
    • 学会等名
      第48回日本細菌学会中部支部総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] Aspergillus flavusの産生するエラスターゼとエラスターゼインヒビターの精製およびその性質について2011

    • 著者名/発表者名
      奥村欣由
    • 学会等名
      第48回日本細菌学会中部支部総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] アスペルギルス由来エラスターゼインヒビターAFLEIのX線構造解析2011

    • 著者名/発表者名
      佐久間麻由子
    • 学会等名
      第48回日本細菌学会中部支部総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] 日本と韓国において分離されたMycobacterium aviumの遺伝学的相違について2011

    • 著者名/発表者名
      新美正樹
    • 学会等名
      第48回日本細菌学会中部支部総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] Aspergillus flavusの産生するエラスターゼインヒビターAFLEIのX線構造解析2011

    • 著者名/発表者名
      佐久間麻由子
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] FimA is involved in activation of the signal transduction pathways in Salmonella infected-macrophages in a Toll-like receptor 2-dependent manner2011

    • 著者名/発表者名
      Keiichi Uchiya
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Societies 2011 Congress
    • 発表場所
      Sapporo
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] Mycobacterium aviumの特徴的新規遺伝子領域に基づいた経気道感染株と経腸感染株の比較検討2011

    • 著者名/発表者名
      黒河和宏
    • 学会等名
      第86回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-02
  • [学会発表] 日本と韓国における肺MAC症患者由来株の遺伝子的特徴の検討2011

    • 著者名/発表者名
      新美正樹
    • 学会等名
      第86回日本結核病学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-02

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公開日: 2013-06-26  

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