クラミジア・トラコマチの経膣生殖器、経気管肺感染モデルを確立し、生殖器粘膜、肺という2つの異なった粘膜部位におけるCD 1d拘束性NKT細胞のクラミジア感染防御機構における役割の検討を行った。NKT細胞欠損マウスにおいては、生殖器感染ではクラミジア排除の遅延が見られ、NKT細胞の感染防御能が認められること、一方同じ病原体を用いた肺クラミジア感染モデルでは、NKT細胞は生殖器粘膜の場合とは逆に、感染増悪に働いていることを明らかにした。クラミジア肺粘膜感染では、NKT細胞はクラミジア肺粘膜感染においてはIL-13産生CD4T細胞を誘導しクラミジア感染増悪因子として働いていた。NKT細胞はクラミジア肺粘膜感染においてはIL-13産生CD4T細胞を誘導しクラミジア感染増悪因子として働いていた。本研究により、異なった粘膜免疫においてそれぞれの粘膜面固有の樹状細胞やマクロファージ(肺胞マクロファージ、pulmonary DCなど)があり、自然免疫系の細胞群とのcross-talkのメカニズムも粘膜面において異なっているのではないかと予想された。このようなNKT細胞の異なった粘膜面におけるサイトカイン産生能、機能の違いがおきるメカニズムを明らかにすることにより、クラミジア感染症に対する新しい免疫制御法の開発が期待される。さらに今年度はクラミジア感染モデルにおいて感染早期に局所へ集合する自然免疫系の細胞、好中球、マクロファージに着目した研究も行い、マクロファージ・ポラリゼーション(M1/M2マクロファージ)と炎症の関係や、好中球由来antimicrobial peptide(cathelicidin)によるマクロファージ、樹状細胞を活性化、Th1タイプの細胞性免疫・炎症の誘導の可能性を見いだした。今後これらの好中、樹状細胞の活性化とNKT細胞の関係などを詳細に検討していく必要があるものと考えられた。
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