研究概要 |
クラミジアのマウス粘膜(肺、生殖器)感染モデルの解析により、CD1d拘束性NKT細胞が感染ルート・臓器の違いにより異なった機能を示し【生殖器NKT:IFNγ産生proTH1、肺NKT:IL-13産生proTH2】、IFNγで活性化され強い細胞性免疫、炎症を惹起するM1マクロファージ(classically activated macrophage)あるいは、IL-13で活性化され炎症の再生・線維化に関与するM2マクロファージ(alternatively aetivated macrophage)などと異なったマクロファージの分化誘導に関与していることを明らかにした。H22年度は、動脈硬化との関連が示唆される肺炎クラミジア感染により、マクロファージがInflammasome(NLRP3)を介したcaspase-1活性化によるIL-1β産生をおこすが、他のクラミジアの感染では起こさないこと、さらにInflammasome関連分子(NLRP3,Asc,Casp-1)欠損マウス由来のマクロファージでは肺炎クラミジア感染によるL-1β産生が阻害されるだけでなく、感染性クラミジアの増殖も阻害されていることを見いだした。また、M1・M2マクロファージが肺炎クラミジア感染に対して異なった感染感受性および、異なったinflammasome/caspase-1活性化を示ことも明らかにした。今後これらのM1→M2ポラリゼーションの分子機構や、オートファジーによるinflammasome/caspase-1活性化の制御経路の検討を行うことにより、自然免疫系による炎症キックオフの制御を可能にする新たな分子標的の発見に繋がるものと期待される。
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