研究課題
1.Yeast Two-hybrid法によってV蛋白と結合する宿主蛋白の1つにImportin αの存在が明らかになった。V蛋白は核に局在する事が解っているので、そのメカニズムについて検討を試みた。2.V蛋白と結合するImportinはImportinα5とImportinα7であった。Importinα5をN末側とC末側に分け、V蛋白との結合を検討した結果、N末側と結合する事が明らかになった。また、Importinαと結合するV蛋白上の領域はP/V共通領域にあった。3.V蛋白の核移行シグナルはP/V共通領域にある事から、P蛋白も核に移行しうるのに、P蛋白は細胞質に分布する。P蛋白特異的領域に核外移行シグナルが存在すると考え、そのシグナルに必須のアミノ酸を同定した。また、Leptomycin B存在下でP蛋白は核に留まる事から、P蛋白上の核外移行シグナルはCRM1-dependentである事が明らかになった。4.核移行シグナルならびに核外移行シグナルと考えられるアミノ酸とβ-galactosidaseの融合蛋白を発現させ、シグナルである事を同定した。5.P蛋白は核と細胞質を行き来しているが、その移動がウイルス増殖に及ぼす影響をミニゲノムの系を用いて検討した。P蛋白の核移行シグナルを欠損させると増殖が悪くなり、核外移行シグナルを欠損させるとさらに悪くなった。パラミクソウイルスは細胞質で増殖するため、増殖に必須であるP蛋白は主に細胞質に存在する事が不可欠であるだけでなく、P蛋白が核と細胞質を行き来する事もウイルス増殖に影響を与える事を明らかに出来た。6.V蛋白欠損ウイルスを感染させたLLC-MK_2細胞ではwtに比べて明らかに激しい細胞傷害を引き起こした。Yeast Two-hybrid法によってV蛋白と結合する宿主蛋白の中で、アポトーシスに関与する蛋白を中心にさらなる検討を継続している。
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Virology 397
ページ: 285-298
Microbiol.Immunol. 53
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