C型慢性肝炎に対する現在の標準治療はペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)の併用療法である。遺伝子型1bのHCV感染のPEG-IFN/RBV併用療法の治療成績は約50%となっているが、中でも更年期以降の女性において治療成績が良くないことが問題点としてあげられる。更年期おいては高脂血症、骨粗鬆症の頻度高くこれらの疾患に対してスタチン剤、ビスフォスフォネートが用いられている。昨年度までに骨粗鬆症治療剤であるラロキシフェンが抗(C型肝炎ウイルス)HCV活性(EC_<50>:1μM)を有することを見出した。また、これまでにスタチン剤が培養細胞、患者でHCV RNAの増殖を抑制することが知られている。本年度はラロキシフェンをIFNあるいはスタチン剤と併用したときの抗HCV活性について検討した。ラロキシフェンは濃度依存的にIFNの抗HCV活性を増強した。一方予想外にラロキシフェンとスタチン剤の併用は相反効果を示した。 スタチン剤、ラロキシフェンは現在臨床の場で更年期の女性に対して用いられている薬剤である。標準療法であるPEG-IFN/RBVにスタチン剤を追加することで治療成績が改善されることがこれまでに報告されている。今回の結果はPEG-IFN/RBVにラロキシフェンを追加することで治療成績が改善されることを示唆している。一方、スタチン剤とラロキシフェンを併用することはそれぞれの抗HCV活性を減弱させてしまう可能性があるため、臨床でこれらの2剤を併用する場合の有用な情報となるものと思われる。
|