研究課題
HIV-1のコードするアクセサリータンパクNefはエイズ病態形成への関わりが示唆されてはいるがその機能は未だ明らかではない。我々は、ヒトマクロファージ(Mf)にNefの調節性発現が可能な組換えアデノウイルスを感染させてマイクロアレイ解析した結果、Nefの高度発現に伴って低下する自然免疫機能に関わる遺伝子(TLR5やIL-10Rβ等)を検出し、これらを中心にNef発現がMfの自然免疫機能を障害するかどうかをin vitroおよびヒト血液系細胞が分化増殖する免疫不全マウス(ヒト化マウス)を用いて明らかにすることを目的とした。前年度は単球系細胞株U937でNef発現に伴うTLR5やIL-10Rβの発現低下を確認し、5人のドナー単球由来マクロファージ(MDM)に共通してTLR5のリガンドであるflagellin刺激時のIL-6産生がNef発現により低下することを観察した。しかしながらMDMは用いた条件ではTLR5やIL-10Rβのタンパクレベルでの発現が弱く、フローサイトメーターでNef発現によるこれら分子の発現変化を解析することは困難であった。そこでMDMを不活化Salmonella菌やflagellin、IL-10等で刺激し、培養上清中のサイトカイン25種類を網羅的に測定した結果、検出されたサイトカインの中でIL-6の産生のみがNef発現に応じて変化していることが示唆された。また、ヒト化マウスにおけるNefの作用を検証していくために、今年度はHIV-1のマクロファージ指向性ウイルス(R5型)の増殖系を確立し、血中や脾臓・リンパ節、骨髄におけるウイルス感染T細胞の表現型を解析することが可能となった。残念ながらこのマウスではマクロファージ・樹状細胞の分化が乏しく、これらの細胞は骨髄で解析する必要があることが明らかとなった。
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