研究課題
ウイルスdsRNAの合成アナログであるpoly(I:C)は、細胞外から骨髄系樹状細胞のエンドソームに局在するTLR3を活性化し、TICAM-1(別名TRIF)を介してIL-12p70,IFN-α/β産生の誘導、樹状細胞の成熟化を誘導し、NK細胞、細胞障害性T細胞を活性化する。しかし、細胞外のpoly(I:C)がどのようにTLR3が局在するエンドソームへ運搬されるかは明らかでない。本研究では、poly(I:C)のエンドソーム標的に関与する受容体を同定しその機構を明らかにし、細胞外のdsRNAに対する免疫応答のしくみと抗ウイルス感染防御への役割を解明することを目的とした。Poly(I:C)結合活性を有するヒト細胞株のcell Iysateから、poly(I:C)に特異的に結合する分子を、poly U-sepharose、poly(I:C)-sepharoseを用いてアフニティー精製し、質量分析による蛋白同定を行った。同定された122個の分子のなかから、膜貫通領域をもつ分子あるいは膜結合活性を有する分子4個を選択し、siRNAによるノックダウンで活性を査定した。その結果、膜結合活性を有するひとつの分子をノックダウンすると、poly(I:C)刺激によるTLR3を介したIFN-β産生が著しくて低下することが明らかとなった。更に、この分子をノックダウンしたHeLa細胞において、poly(I:C)の取り込みがおきないことが判明した。poly(I:C)同様クラスリン依存的エンドサイトーシスで取り込まれるトランスフェリンの取り込みには影響しないことから、poly(I:C)の取り込み受容体と共役して取り込みに関与すると考えられ、今後詳しく解析するとともに、poly(I:C)の取り込み受容体の同定を引き続き行う予定である。
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