研究課題
ウイルスdsRNAの合成アナログであるpoly(I:C)の取り込みおよびTLR3を介したIFN-β産生に必須の分子Raftlinをプロテオーム解析で同定した。RaftlinはB細胞とT細胞では主にlipid raftに存在し、BCR,TCRの機能を調節することがこれまでに報告されている。しかし、HeLa細胞では細胞質に、ヒト骨髄系樹状細胞では細胞膜と細胞質に局在しており、細胞種で局在と機能が異なることが明らかとなった。Raftlinは、poly(I:C)が細胞表面に結合し点状に集積するに伴い細胞質から細胞膜に移動し、poly(I:C)と共局在した。その後、poly(I:C)の細胞内への取り込みとともに細胞膜からエンドソームへ移行しTLR3、Rab5(初期エンドソームマーカー)と共局在することが、HeLa細胞、骨髄系樹状細胞で観察された。Raftlinは定常状態ではクラスリンと相互作用しないが、細胞膜にリクルートされた時クラスリンと相互作用し、エンドソームに達すると相互作用しない事が免疫沈降実験より明らかになった。一方、Raftlin欠損マウスのBMDCでは、poly(I:C)刺激によるIFN-β産生とpoly(I:C)の取り込みがwild-type BMDCと同様であった。マウスBMDCはヒト骨髄系樹状細胞と異なりファミリー分子のRaftlin-2を発現していたためRaftlin-2をノックダウンしたところ、poly(I:C)によるIFN-β産生が減弱し、poly(I:C)の取り込みも起きなかった。以上より、Raftlinはpoly(I:C)取り込みレセプターの下流で、クラスリン-AP-2複合体と相互作用してpoly(I:C)の取り込みとエンドソームTLR3への配送に関与することが明らかになった。また、マウスBMDCでは、RaftlinとRaftlin-2がpoly(I:C)の取り込みに関与すると考えられた。これらは、非自己核酸の取り込み機構と免疫応答の解明、クラスリン依存的エンドサイトーシス経路の研究において非常に重要な知見である。
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