アレルギー反応を誘発するメモリーTh2サブセット同定と機能解析、機能制御法についての解析を継続的におこなった。具体的には、接着分子CD62Lと発現を指標にメモリーTh細胞を2つのサブセットに分画し、その性質と分化機構の違いについて検討した。その結果、Th2細胞から分泌されアレルギー性炎症において好酸球の増加と遊走に重要であるIL-5は、メモリーTh2細胞の中でもCD62L-low(エフェクターメモリーTh)のサブセットから主に産生されることが明らかとなった。また、エフェクターメモリーTh細胞サブセットの遺伝子発現をDNAマイクロアレイで解析したところ、オステオポンチンやIL-10、IL-6などの炎症性サイトカインを大量に産生することが分かった。このサブセットの制御がアレルギー炎症の新規治療法の提唱につながると考え、低分子化合物のスクリーニングをおこない、石原産業がIL-5産生阻害剤として合成したチオアミド系化合物SH-2251が、IL-5のみならずオステオポンチンやIL-10の産生誘導を抑えることを見出した。また、SH-2251はIL-5産生を阻害するだけではなく、ナイーブCD4 T細胞からIL-5産生細胞への分化そのものを抑制することも明らかになった。これらの結果は、SH-2251によりエフェクターメモリーTh2細胞サブセットの機能を抑制することで、疾患の治療が行える可能性を示唆している。
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