本年度は以下の3点について検討を行っている。 1.個体レベルでのTLR応答のPRAT4Aによる制御 PRAT4AKOマウスはエンドトキシンショックに抵抗性であるので、PRAT4Aに対するモノクローナル抗体やPRAT4A過剰発現マウスを作製してショックが抑制されたり増強されたりするかどうか調べる。現在検討中である。 2.個々のTLRにおけるPRAT4Aの役割 PRAT4Aの一変異多型(PRAT4A-M145K)をPRAT4Aノックアウトマウス由来のDC細胞に導入すると、細胸表面TLRのうちTLR2とは弱いながらも会合を認め細胞表面への発現は回復しリガンド刺激においてサイトカインの産生も回復を認めたが、一方でTLR4とは会合せず細胞表面への発現、その応答も回復しなかった。細胞内TLRであるTLR9とはPRAT4A-M145Kは会合するにも関わらず細胞内移動、応答性の回復は認められず、PRAT4Aが会合するだけでなくさらに何らかの機能が必要であることがわかった。このようにPRAT4Aのアミノ酸一箇所の変異によりそれぞれのTLR機能への影響に違いがあることから、PRAT4AとTLRとの機能的な関係は単一ではなく、個々のTLRによって異なることが明らかとなり、PRAT4AはTLR応答バランスに影響を与える分子であることがわかった。 3.PRAT4Aの発現とその制御機構 PRAT4Aに対する抗体を用いて、PRAT4Aの発現を上下させるものがあるかどうか、検討中である。
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