(研究目的) Activation-induced cytidine deaminase(AID)は抗体遺伝子のクラススイッチ(CSR)と体細胞突然変異(SHM)に必須の遺伝子である。その機序はDNA切断であることはわかっているが、AIDの標的がDNAであるか、RNAであるか、結論が得られていない。本研究ではAIDノックアウトB細胞ラインを樹立して、AID以外のcDNA(おそらくAIDにより編集されたcDNA)でCSRをレスキューできることを示し、AIDの標的がDNAではなく、RNAであることを証明し、かつAIDの標的RNAをクローニングすることを目的とする。 (研究結果) 平成20年度の計画の主軸はAIDノックアウトB細胞ラインの樹立であった。 上記のレスキュー実験を成功させるためには実験に用いる細胞が重要である。現在、世界で使われているB細胞ラインのうち、もっとも効率良くCSRを誘導できるB細胞ラインはCH12である。現在までにCH12のAIDのノックアウトを申請者らの研究室も含めていくつかの研究室で試行されたが、いまだに成功していない。CH12のノックアウトに成功し報告された例は理研の王らのグループがpolymeraseのノックアウトに成功した一例だけである。彼らによればノックアウトの頻度は5000分の1程度と推定されている。王らのノックアウトの方法を参考にしながらノックアウト細胞のスクリーニングを行い、いくつかの候補細胞ラインを得ることができた。今後、サブクローニングなどを引き続き行う。
|