(研究目的)Activation-induced cytidine deaminase(AID)は抗体遺伝子のクラススイッチ(CSR)と体細胞突然変異(SHM)に必須の遺伝子である。その機序はDNA切断であることはわかっているが、AIDの標的がDNAであるか、RNAであるか、結論が得られていない。本研究ではAIDノックアウトB細胞ラインを樹立して、AID以外のcDNA(おそらくAIDにより編集されたcDNA)でCSRをレスキューできることを示し、AIDの標的がDNAではなく、RNAであることを証明し、かつAIDの標的RNAをクローニングすることを目的とする。 (研究結果)平成21年度の計画の主軸はAIDノックアウトB細胞ラインの樹立であった。 上記のレスキュー実験を成功させるためには実験に用いる細胞が重要である。現在、世界で使われているB細胞ラインのうち、もっとも効率良くCSRを誘導できるB細胞ラインはCH12であるが、ノックアウトの頻度は5000分の1程度と推定されている。通常のノックアウトの手法では目的のクローンを得られなかったので新規の手法を試みるほか、AIDノックアウトマウスのB細胞でスクリーニングを行うべく、レスキュー用のライブラリーの作成も同時に行い、来年度内に結果を得られるように実験を進める。
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