研究概要 |
本研究の目的は、in vitroでγδTリンパ球が選択的に分化誘導できる細胞培養系を開発することである。平成21年度の研究においては、まず3種類のストローマ細胞株(OP-9,Tst-4,ST2)におけるMHCクラスI b分子およびMHC様分子の発現を定量的PCR法を用いて解析した。OP9は、マウス胎仔線維芽細胞(MEF)と類似の遺伝子発現パターンを示すが、Tst-4はT22, M3, Q4, Q7の遺伝子発現のストローマ細胞より顕著に高く、また、ST2はT2, T23, M1, M4の遺伝子発現のストローマ細胞より顕著に高かった。このような特徴的な遺伝子発現パターンとγδT細胞のin vitroでの分化誘導とレパートア形成との関連をさらに調べていく必要がある。次に、胚幹(ES)細胞からのTリンパ球分化誘導培養系を用いて、骨髄および胎仔肝の造血幹細胞(HSC)からのγδTリンパ球の発生を解析した結果、生体の骨随意由来のHSCからは、出生以降の胸腺に出現するγδTリンパ球のレパートアワが検出されえるが、胎仔肝由来のHSCからは胎仔胸腺で認められる皮膚や肺に局在するγδTリンパ球のレパートアワが検出された。したがって、HSCの由来がγδTリンパ球のレパートアワ形成に重要であることが明確となった。現在、ES細胞から出現するγδTリンパ球のレパートアワを解析中である。上記3種類のストローマ細胞へDeltal, Delta4, T10, T22を単独ある有為は組合せで発現させた細胞はすでに樹立しており、それらを用いてTリンパ球分化誘導培養系での解析を行う予定である。また、上記以外の有望な遺伝子を発現させたストローマ細胞も現在作出中であり、これらに関しても樹立次第、解析を行う。
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