研究概要 |
転写因子であるNF-κBは細胞の機能、増殖、分化を決定するシグナルの中心的役割を担っている。NF-κB活性化に関わる分子の欠損は免疫不全になり、逆に過活性は自己免疫疾患、癌を誘導する。故に、特異的にNF-κBの活性化を誘導するシグナルの制御は重要な課題である。しかしながら、抗原受容体によって誘導されるシグナルにおいてNF-κBの活性化に必須である分子はどのようなComplexを形成し、何によって制御、修飾されているのか、またマウスを使ったin vivoの系ではどのような機能が見られるのかといった解析は不明な点が多く残されている。 申請者は、自然免疫シグナルおよび獲得免疫の双方に寄与しているこの二つのセリンスレオニンキナーゼ、MAP3Kファミリー分子であるMAP3K3、MAP3K7の遺伝子欠損マウスを用意し、抗原受容体シグナルでNF-κBを活性化することにMAP3K3が必要な分子であることを見出し、T細胞特異的に遺伝子を欠損させたマウスを解析した。MAP3K3はT細胞の分化及びTCR刺激による細胞増殖、サイトカイン産生に重要な役割を担っていることをも明らかにし、報告した(Shinohara H.et al.,Internatinal Immunology,in press)。現在、遺伝子をB細胞特異的に欠落させるmb1-Cre (Igα-Cre)マウスと交配し、MAP3K3とMAP3K7それぞれの遺伝子欠損マウスを用意し、分化への影響、寄与を検証している。
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