研究概要 |
IgG1遺伝子座3'端にIRES-Creをノックインしてあるマウス(PNAS,103:7369,2006)と申請者らのグループによりすでに作製・解析が進んでいるLoxP-PLC-γ2マウスを交配し、IgG1-Cre/PLC-γ2floxマウス(PLC G1 KO)を作製した。得られたPLC G1KOマウスにおいて、IgG1陽性細胞においてのみPLC-γ2遺伝子座が欠失していることを、RT-PCR法で確認した。また、PLC-γ2タンパクの発現もなくなっていることを細胞内染色により明らかにした。 さらに、PLC G1KOマウスの免疫応答についても調べたところ、胚中心細胞の数が激減しており、さらに記憶B細胞の数も減少していた。加えて、血清中の抗原特異的抗体産生量についても検討を行ったところ、特にIgG1クラスの抗体レベルのみに顕著な低下が認められた。一方、親和性成熟についても検討を加えたところ、胚中心B細胞における体細胞突然変異の頻度に異常は認められず、血清抗体の親和性成熟も正常であることが明らかとなった。これらの表現型の原因を明らかにするために、詳細を検討したところ、胚中心における細胞周期に弱い阻害が認められた。 加えて、正常に記憶細胞を形成した後に、コンディショナルにPLCγ2の遺伝子を欠失したところ、その変化に伴い、抗原特異的な記憶B細胞の数が減少することが明らかとなった。これらのことから、PLCγ2は、記憶B細胞の生成のみならず維持にも必須の分子であることが明らかとなった。
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