1)肺メモリーB細胞が高発現する液性因子の機能解析 全身系メモリーB細胞と比較し、肺メモリーB細胞で高発現する液性因子に関し、タンパクレベルでの発現増加を確認した。組換えタンパクを作製し抗インフルエンザウイルス活性をin vitroで調べた結果、有意な抗インフルエンザウイルス活性を認めず、さらに、マウス気道に投与した場合でも顕著な感染防御効果を観察することはできなかった。生体内での機能的役割を明確にするため、B細胞選択的な遺伝子欠損マウスの作製に着手し、ターゲティングベクターを構築した。 2)肺メモリーB細胞の産生・分化機構の解析 肺メモリーB細胞の産生・分化機構のモニターを容易にするため、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンタンパクに特異的な抗体heavy/light chain遺伝子を導入したマウスを作製した。このマウスでは、末梢B細胞の約90%がインフルエンザウイルスに特異的なB細胞抗原受容体を発現することを確認し、さらにインフルエンザウイルス粒子とともに培養すると、細胞分裂後に抗体産生細胞へと分化することが判明した。また、このB細胞を野生型C57BL/6マウスに移入した後ウイルスを経鼻感染させると、移入したB細胞が応答し抗体産生細胞へと分化することが明らかとなった。以上の結果から、本システムは、インフルエンザウイルス感染に対する肺メモリーB細胞の産生・分化機構の解析に有用であると考えられる.
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