研究概要 |
1)肺メモリーB細胞が高発現する液性因子の機能解析 二次リンパ器官のメモリーB細胞に比べ肺メモリーB細胞で高発現する液性因子に関し、B細胞選択的な遺伝子欠損キメラマウスを作製した。 2)肺メモリーB細胞の産生・分化機構の解析 肺メモリーB細胞の産生kineticsと表現型を二次リンパ器官のメモリーB細胞と比較した結果、二次リンパ器官のメモリーB細胞は感染後20日までに存在頻度がピークに達するのに対し、肺メモリーB細胞の存在頻度はその後もゆるやかに増加しつづけることが明らかとなった。さらに、産生された肺メモリーB細胞は、成熟型メモリーB細胞のマーカー分子として提唱されているCD73,CD80、CD273を高頻度で発現することやIgA陽性細胞の頻度が高いことから、二次リンパ器官のメモリーB細胞と比較し、より成熟段階の進んだメモリーB細胞であると考えられた。再感染ウイルスに対する肺メモリーB細胞の応答性と機能を細胞移入実験により検証したところ、二次リンパ器官のメモリーB細胞に比べ肺メモリーB細胞は再感染ウイルスに速やかに応答してより多量のIgA抗体産生細胞へと分化し、ウイルス量を有意に低下させることが明らかとなった。さらに、IgA抗体産生細胞の出現経路を詳細に調べた結果、IgA陽性メモリーB細胞に加え、IgA陰性メモリーB細胞からもほぼ同程度のIgA抗体産生細胞の供給が認められた。以上の結果から、肺メモリーB細胞の一部は、IgA陽性メモリーB細胞からIgA抗体が供給される従来の経路に加え、再活性化後IgAスイッチを引き起こしてIgA抗体再生細胞を供給する可能性が示唆された。
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