研究課題
平成21年度においては、舌下減感作療法における抗原取り込み機能を解析するために口腔底(Oralcavity:OC)より単核細胞を分離してこれまでに腸管免疫でよく解析されているパイエル板(PP)と比較しながらFACS解析を行った。その結果、PPにおいて分離された単核細胞中CD3陽性T細胞は15%であるのに対してOCでは7.5%であった。一方、PPにおけるB220抗体陽性B細胞は80%であったのに対して、OCでは2%ほどしか存在しなかった。興味深いことに、CD3とB220抗体が共に陽性である細胞がPPには存在しなかったがOCには約25%の高頻度で存在していた。一般にCD3とB220抗体が共に陽性である細胞は、末梢のリンパ節には存在しないが、粘膜固有層での腸管上皮間リンパ球において存在することが認められている。また、CD3とB220抗体が共に陽性である細胞は、抑制性T細胞と言われる画分が存在する。次年度においては、これらの細胞を詳細に検討するために細胞表層抗原の解析項目を追加して行く。次に腸管免疫における粘膜免疫誘導組織としてのPPと比較してOCにおける抗原提示細胞の存在頻度を解析した。その結果、CD11c陽性細胞である樹状細胞はPPには1%以下であったが、OCでは約2%存在していた。また、樹状細胞とならんで重要な抗原提示細胞であるマクロファージ(F4/80陽性細胞)もPPよりOCの方が高頻度で存在していた。これらの結果より口腔底粘膜においては、舌下減感作療法における抗原を取り込んだ後の免疫寛容を誘導する高度な細胞群が存在する細胞の存在が示された。
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