研究概要 |
本年度は、研究期間4年のうちの2年目にあたる。新カリキュラム:薬学6年制の第1期生は、学部4年生となり、次年度の長期実務実習を控えて、その事前実習が開始された。そこで、昨年度の研究成果をふまえ、本研究助成により、危険認知力と問題解決力の開発のため、医療安全の分野で用いられてきた「危険予知トレーニング」(以下、KYTと略)の手法について、新たに6年制薬剤師養成カリキュラムへの導入を試みた: 1.前年度までの病院実習におけるKYTの成果をまとめるとともに、今後、新カリキュラムに導入する際の課題を明らかにした(卒前薬剤師教育への危険予知トレーニングの導入、村井ほか、薬学雑誌、129:1367-1373(2009))。 2.実務実習やその後のカリキュラムを考慮のうえ、事前学習へのKYT導入を図り、事前学習シラバス及びテキスト作成、プログラムの作成を行った。調剤、服薬指導、注射剤の無菌調製など実習項目ごとに、臨床に則した教材を用い、薬物療法上の毒性発現やヒューマンエラーについての危険予知トレーニングを組み入れた。単に技術や知識の習得に留まらないように配慮した。経過は第64回医薬品相互作用研究会シンポジウム(シンポジスト、平成21年5月)等で公表した。 3.新カリキュラムの事前学習期間、薬学部4年生を対象にKYTを3回実施した。題材はそれぞれ調剤、無菌調製、服薬指導に関することとし、これにより、学生たちに、種々の場面における薬剤師の役割として「危険予知」が重要であることの意識を促した(村井ほか、薬学教育協議会フォーラムで成果発表,平成22年2月)。スモールグループによる討論形式のKYTを複数回実施したことにより、コミュニケーションのトレーニングも図れたものと考える。 次年度は、引き続きプログラムや教材のブラッシュアップ等を行う。
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