「過去の実績データに基づくオーダ時の警告・アドバイス」手法を用いる医療事故防止システムの実用化を目標とし、平成22年度は、以下の研究計画を実施した。 1)本手法を用いた試作システムの拡張との実用化のためのシステム設計の検討 昨年度試作した、警告の基となる処方データを格納するデータベースを強化した。また、Webブラウザを利用した警告表示システムの機能拡張もおこなった。さらに、試作レベルではなく、実用化のための設計についても検討した。実用的なシステムを安価かつ安定したシステムとして構築するためには、既存の処方オーダ時処方量警告システムを活用することが有効であるとの結論に至り、既存システムのメッセージフォーマットを拡張し、処方量警告システム側の機能を拡張することで対応する設計をおこなった。 2)国際学会での発表 国際医療情報学会MEDINFO 2010において、本研究成果をポスターとして投稿した。査読の結果、本研究は、Best Poster Awardのfinalistとしてノミネートされ、南アフリカ共和国ケープタウンで開催された同学会で発表した。 3)国内、海外、専門家との研究打ち合わせ 本手法の有用性について、日本医療情報学会、国際医療情報学会などの機会を利用し、国内および欧米の専門家と研究打ち合わせを行い、現状と展望について意見交換を行った。その結果、処方量警告システムの手法として、高い評価を得るとともに、前述の国際医療情報学会でも注目された。 4)研究成果の活用 今後、医療事故防止に効果を発揮する病院情報システムの開発に向けて、医療情報システム開発ベンダーとともに、1)の実用化設計を活用することで、本研究成果を発展的に生かしていく予定である。
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