研究概要 |
本研究は,病院内の全てのデータを電子的に一元管理した病院(インテリジェント・ホスピタル)において,ミニセット型パスと呼ばれる新規開発した独自の効率的な診療工程表(クリニカルパス法)を利用することにより,電子化されたあらゆるデータをもとに既存の癌化学療法のさらなる成績向上・効率化・標準化などを行う手法の開発を目指してきた。 臨床の現場では患者の個人差が大きいため,予定していた診療計画が必ずしも一律にこなせるわけではない。逆にそこで生じるバリアンスから経験的に,真に効率的・効果的な診療がみつかることも少なくない。我々が開発したミニセット型パスは,経時的または同時に複数のパスを走らせることが出来る画期的な物であるが,この際に生じるバリアンスを集計・解析する手法がまだ確立していない。そのため,そのバリアンス分析を簡便に行うためのソフトウエアの開発を行った。臨床上の重要なアウトカム(クリティカル・インディケーター)にポイントを絞り,それを中心としてバリアンス情報を詳細に収集する方法であると共に,その事項が本当にクリティカルな事柄になっているのかどうかを評価しようというものである。クリティカル・インディケーターの分析を終え,すでに試験的に院内で稼働し始めており,さらに標準的なアウトカムマスタが今年度末に公表されることより,それを採用して標準的な分析を開始する準備も整った。 またレジメン機能の高機能化についても医療安全の観点から検討を進め,いくつかの改良点を含んだ設計を行った。今後このような技術を応用したシステムを実際に実装してその効果を検証していく予定である。
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