研究課題/領域番号 |
20590518
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
田中 優 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90448770)
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研究分担者 |
古家 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70183598)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60275328)
井上 聡已 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50295789)
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キーワード | 医療経済 / 医療の質 / 原価計算 / 手術 / 麻酔 / 病院経営 / コストモデル / 回復の質 |
研究概要 |
原価計算的に収入の項目として、診療報酬・医療材料償還費・薬価償還費を、費用項目として医療材料購入費・薬剤購入費・人件費を現場でデータを取ることで手術コスト構造が微細にわかった。典型的な手術の人工股関節置換術と、内視鏡手術という高額医療材料を使用する胸腔鏡下肺葉切除術で、それらの特徴を分析した。人工股関節手術では高額の人工股関節そのものが償還が利く医療材料であり、医療材料収益はその分プラスになっている。しかし、胸腔鏡下肺葉切除術では自動吻合器クリップの償還は効かずそのままでは高額のマイナスになる分を内視鏡加算で補う構造になっていた。2つの手術とも薬価差益はほぼプラスマイナスであった。看護師の実労時間と空き時間(手術に携わらない時間)は2:1であり、効率のよい労働シフトに改善の可能性があることも示唆された。今後本学では電子カルテと医療材料がリンクしデータの入手のスピードと正確性が高まり診療科別状況把握(診療科別収支)が実行されるので、研究成果は手術室全体や集中治療室,病院全体までを考慮し、医薬・診療材料費の削減・診療報酬の適正化に貢献できると思われた。 また周術期の医療の質のデータ解析も行った。質の良い医療は費用を削減するというデータも存在する。(A Baiker et al : Health Affaires 2003)それゆえ医療の質を向上し医療コストを適正にすることは医療倫理上、医療経済上守られるべき課題であると思われる。Quality recovery score日本語版は、術後の外科麻酔回復の質をみる尺度であるが、それを一般外科と耳鼻科に応用したデータでは回復の質の良いものほど、入院期間が短いまた一ヶ月後のQOLがよい傾向があることがわかった。
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