本研究の目的は、(1)疼痛制御クリニカルパスの確立:(1)オピオイド使用による導入期パス、ローテーション期パス、安定期パスの3種のクリニカルパスを基盤とした疼痛管理クリニカルパスの運用による疼痛管理を図る、(2)患者申告による主観的疼痛自己評価と、発熱、白血球・CRPなどによる炎症所見、あるいは各種腫瘍進展にかかわるサイトカインや代謝制御に関係する各種ホルモンの推移などによる客観的指標による疼痛評価法の確立を目指す。(3)上記(2)に連動したレスキュー量、タイトレーション法の設定を明らかにすることである。 平成21年度は、当院緩和ケア病棟入院患者にて、疼痛制御クリニカルパスの確立として、さらなる症例の集積を中心に研究を行っている。すなわち、オピオイド導入期、ローテーション期、安定期パスをさらに連動したレスキュー量、タイトレーション法の設定を基準とし2-3群に細分化し、検討を行っている。オピオイド導入期において、主観的疼痛自己評価として当院独自の臨床症状加算式総合評価を検討した結果、レスキュー量を1/6に設定した群で良好な結果が得られている。ローテーション期、安定期パスでは明らかな差は認めていない。また、客観的な評価である白血球・CRP、サイトカインなどを測定しているが、現在、オピオイド導入期、ローテーション期、安定期において、明らかな有意差を認めていない。新たにホルモン検索も施行しているが、症例数も少なく、有意な差は認められない。今後は、さらに症例を集積し、解析したいと考えている。
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