研究課題/領域番号 |
20590525
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
三宅 眞理 関西医科大学, 医学部, 講師 (50434832)
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研究分担者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
田近 亜蘭 関西医科大学, 医学部, 助教 (80368240)
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キーワード | 高齢者介護 / 介護労働 / 認知症ケア / 介護ストレス / ダイバージョナルセラピー / アクティマーカー / アクティグラフ |
研究概要 |
介護労働の軽減を図るために、オーストラリアの介護老人施設:ANF(Samarinda Lodge)と日本の特別養護老人介護施設JNFにおいて介護者の労働について調査を行った。その結果、勤務時間帯別のいずれの時間帯においても、ANFはJNFに比較して歩数とMets共に低値を示したことから、ANFの介護労働の動きの速度が緩やかであったことが示された。22-07時においてJNFの平均歩数と平均MetsがANFより有意に高値を示した(P<0.05)ことから、JNFの夜間の労働負担が大きいことが明らかになった。アクチグラフから得られた1週間の生活のリズムから、夜勤が含まれるJNFの勤務形態は起床と就寝時間が遅れるなど、不規則な生活になることが明らかになった。ANFはパートタイム制で決まった時間帯に勤務しており、これらの勤務形態の異なりが明らかになった。夜勤のある日本のシフトは介護職員の健康を考慮した勤務形態のマネージメントが重要である。オーストラリアの国家施策から考察すると、1999年に出されたNational strategy for an Ageing Australia discussion papersは人口の高齢化に対処する上で重要なイニシアチブをとり健全な高齢化に政策的焦点をあて、さらに、1998年のAustralia Nursing Federationのビクトリア支部で正式に採用されたNo Lift Policy「人力のみによって患者さんを移乗することを禁止した指針」を推進し、患者の自立度を上げることと労働災害の軽減に効果を上げている。本研究の結果からITを用いた介護、チーム介護と介護機器の利用促進、要介護者の自立を促進する介護に取り組んでいるオーストラリアの介護は、介護者と要介護者ともに健康を促進し、労働による災害を予防する。我が国にとって公衆衛生的にも有用な示唆を与えるものである。
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