研究課題/領域番号 |
20590527
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
福永 真哉 姫路獨協大学, 医療保健学部, 准教授 (00296188)
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研究分担者 |
鈴木 正浩 姫路獨協大学, 医療保健学部, 講師 (00434952)
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キーワード | 介護老人保健施設 / 摂食嚥下障害 / 経口摂取機能 / 認知機能障害 / 嚥下機能検査 / 神経学的所見 / 神経心報学的評価 |
研究概要 |
本研究の目的は、介護老人保健施設に入所中で脳血管障害などの基礎疾患により、認知機能障害などを合併した摂食嚥下障害をもつ高齢者に対し、介護保険制度を活用した適正で現実的な経口摂取機能向上の支援を行うための方策を検討することにある。今年度は、福岡市と福山市の2ヵ所の協力介護老人保健施設において、実態調査のための予備調査として、入所中の摂食嚥下障害をもつ高齢者数の把握と診断・介護支援の現状を調査し、問題点を抽出するための資料収集を行なった。この予備調査の結果、全入所者の平均40~60%程度になんらかの摂食嚥下時の問題が認められ、何らかの介護上の支援が行われていた。このうち、入所中に肺炎、窒息等のエピソードがあった者は全入所者の平均7~10%で、医師によって摂食嚥下障害もしくは疑いと診断され、嚥下機能検査の指示が出された者は全入所者の平均2~3%であった。両施設共に全入所者に対し摂食嚥下状態の観察が行われ、その観察結果に基づいた食形態による食事提供や、看護介護スタッフに対する摂食嚥下困難者への介助教育、併設の医療施設への転院治療など、適切な介入が日常的に行われていた。つまり、医師によって詳細な嚥下評価が出された入所者は、看護介護スタッフによる適切な介護支援が行われていたにも関わらず、摂食嚥下障害が疑われる症例であった。よって、次年度に向け、予備調査の結果、得られた資料を引き続き解析し、支援を行われても生じる摂食嚥下障害の背景要因を検討すべく、医師により嚥下機能検査の指示が出された入所者を対象に、基本情報、病歴、日常生活動作、神経学的所見、神経心理学的評価、嚥下機能評価、実際の摂食嚥下状況、医療者と家人の対象者の摂食嚥下状態に対する認識を調査する調査票を作成した。この調査票を本調査で実施し、介護老人保健施設に入所中の高齢者の摂食嚥下障害を引き起こす背景要因について探求してゆきたい。
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