研究概要 |
本研究の主題となるDPCで考慮されている重症度は、あくまでも医療資源の必要度から判断されるものである。その為臨床的な重篤度と必ずしも対応しない場合があるとされている。 本研究においては、DPC分類の精微化とDPC分類の妥当性を高める為の重症度のより妥当な評価の検討を試行した。次に、臨床的な重症度とDPCから得られる医療資源の必要度からみた重症度との関連の分析を試行した。 当該年度においては臨床疫学的、医療経済学的アプローチによりDPC導入下の全国有数の大規模急性期S病院(1,380床)のデータを用い、4疾患(予定症例概数:脳梗塞1,100例、肺炎1,800例、狭心症970例、大腸の悪性新生物400例)の内、主に脳梗塞に関し解析を行い、 (1) 脳梗塞患者の在院日数には、手術の有無、および年齢(65歳以上、未満)が影響を及ぼすことが示唆された。また、リハビリの開始までの日数と1日あたりの医療費コストについては、手術の有無が影響していると示唆されたが、リハビリ開始時期に影響を与える要因を特定するためには、DPCデータ以外の臨床重症度を示す臨床上の指標が必要であると考えられた。 (2) 脳梗塞の重症度にかかわらず、早期のリハビリ介入は退院速度を速めるというエビデンスを得た。DPCデータは診療報酬データとしての存在のみならず、臨床疫学分野の貴重なデータベースと成り得る。 以上の2点についての意義、重要性を指摘した。
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