当科で手術された乳がん組織から抽出した蛋白を用いて、二次元電気泳動において十分なスポットが得られる条件を検討した。その結果至適条件として、一次元電気泳動では、膨潤液に添加する蛋白量は30μg、一次元電気泳動のpHレンジは3-10、電圧は500V1時間、1000V1時間、8000V2.5時間であった。二次元電気泳動は、30mA/gel 1.5時間で行い、明瞭な泳動パターンが得られた。 次に、組織間のタンパク発現量の差を客観化するための定量的二次元電気泳動法の至適条件の設定を開始した。定量的二次元電気泳動法としては、再現性・定量性がほぼ確立された2D-DIGE(2-dimensional differential gel electrophoresis)を選択した。タンパク濃度の変化をみたい試料と対照とする試料をそれぞれCY3およびCY5という2種類の蛍光色素で標識しておき、それらを同一の二次元電気泳動する。各ドットの蛍光色素のを測定し対照との比較を行うことによって、蛋白量の変化を定量可能である。この方法により次年度は研究の目的である、薬物の反応性と乳がん組織で発現している蛋白量との相関性を解析する予定である。
|