研究課題
本研究は、新規抗ガン治療法としてのチミジル酸キナーゼ(tmpk)とアジドチミジン(AZT)を組み合わせる遺伝子治療法の効果を検討することを目的とする。特にtmpk遺伝子導入細胞の周囲にある非遺伝子導入・隣接細胞に対して、遺伝子導入細胞で産生された高活性化ヌクレオチド体が細胞死をもたらすかどうか(Bystander効果)について、詳細な検証を行い、この遺伝子治療法を用いた抗ガン治療法の確立を目指す。Bystander効果の検討とその分子機構の解析緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)遺伝子導入したPC-3細胞を隣接細胞とし、チミジル酸キナーゼ(tmpk)遺伝子導入したPC-3, を適切なAZT濃度存在下で共培養することで、得られるBystander効果について検討を行った。Bystander効果が得られた場合、この効果が細胞間接着装置(Gap Junction)を介して活性化代謝物が直接隣接細胞に輸送されるのか、それとも遺伝子導入細胞から一度細胞外に放出されて隣接細胞が取り込むのかについて検討を行った。(1) 遺伝子導入細胞の確立ヒト前立腺ガン由来のPC-3細胞にヒトtmpk遺伝子(野生型あるいは変異型)あるいはEGFPを遺伝子導入した。導入遺伝子の発現確認は、tmpk抗体を用いるウェスタンブロット解析で行った。EGFP遺伝子を組み込んだPC-3細胞は、Bystander細胞として用いた。(2) tmpk遺伝子導入細胞のみに細胞死をもらすProdrug濃度の決定種々の濃度のAZT存在下で細胞の生存率をMTT法により定量した。tmpk遺伝子導入細胞に対しては、細胞死を誘導するが、Bystander細胞には細胞死をもたらさない、至適AZT濃度を決定した。さらにこの濃度におして、tmpk遺伝子導入細胞アポトーシスが誘導され、Bystander細胞では誘導されないことを、確認した。
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