研究課題/領域番号 |
20590533
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 岳哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10312696)
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研究分担者 |
柳澤 輝行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90133941)
助川 淳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30187687)
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キーワード | 遺伝子 / 癌 / 生体機能利用 / トランスレーショナルリサーチ / 薬剤反応性 |
研究概要 |
本研究は、新規抗ガン治療法としてのチミジル酸キナーゼ(tmpk)とアジドチミジン(AZT)を組み合わせる遺伝子治療法の効果を検討することを目的とする。特にtmpk遺伝子導入細胞の周囲にある非遺伝子導入・隣接細胞に対して、遺伝子導入細胞で産生された高活性化ヌクレオチド体が細胞死をもたらすかどうか(Bystander効果)について、詳細な検証を行い、この遺伝子治療法を用いた抗ガン治療法の確立を目指す。 Bystander効果の検討とその分子機構の解析 緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)遺伝子導入したPC-3細胞を隣接細胞とし、チミジル酸キナーゼ(tmpk)遺伝子導入したPC-3を適切なAZT濃度存在下で共培養することで、得られるBystander効果について検討を行った。Bystander効果が得られた場合、この効果が細胞間接着装置(Gap Junction)を介して活性化代謝物が直接隣接細胞に輸送されるのか、それとも遺伝子導入細胞から一度細胞外に放出されて隣接細胞が取り込むのかについて検討を行った。 Bystander killing effectの確認とその分子機構に関する検討 昨年度の検討により決定した、50μM AZT存在下でtmpk遺伝子導入細胞とEGFP遺伝子導入細胞の共培養を行った。この検討において、tmpk遺伝子導入細胞とEGFP遺伝子導入細胞の両者が直接接触する培養条件でのみ、EGFP遺伝子導入細胞のアポトーシス誘導が観察された。この結果は、tmpk遺伝子導入細胞内で生じた高活性化ヌクレオチド体(AZT-3リン酸)が、細胞間接着を介して、Bystander細胞に転送され、この細胞内において、アポトーシスを誘導したと考えている。
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